低遅延で視点に追従するプロジェクションバーチャルリアリティディスプレイの試作


バーチャルリアリティ技術の視覚部分として,バーチャルリアリティディスプレイは,身体の運動に追従した仮想物体の視覚刺激を提示する体験である.特に,Head Mount Display(HMD)の進化が目覚ましい.このようなバーチャルリアリティのディスプレイでは,「Motion to Photon」と呼ばれる性能が重要視されている.最新のHMD製品における例を挙げると,既に6ms以下程度の低遅延が達成されている.

しかし,HMDの欠点として,身体拘束性が高く,視野角を大きく設計することが難しいことである.これに対して,プロジェクションバーチャルリアリティディスプレイ(Projection Virtual Reality Display:PVRD)も提案されて,これは大画面のスクリーンを空間内に配置することで,利用者が提示された映像空間を体験するものである.HMDの欠点を解消したが,視点の追従・映像の高速化が難しい問題点と実験環境が複雑である問題点がある.もしPVRD においても現在HMD製品と同様の遅延時間5~6ms を達成できれば,様々な応用が期待できる.

本稿では,高速プロジェクタDynaFlashと高速カメラを用いて,人間の視点に追従する低遅延のプロジェクションバーチャルリアリティディスプレイを提案する.投影遅延を計測した結果,従来HMDの「Motion-to-photon」の時間の要請である6ms の遅延に抑えられることが分かった.





参考文献

  • 羅 程,李 万龍,渡辺 義浩: 低遅延で視点に追従するプロジェクションバーチャルリアリティディスプレイの試作,第60回 複合現実感研究会, 2020.