ダイナミックプロジェクションマッピングのネットワーク化に向けた基礎検証


物体の形状と運動に合わせて映像をリアルタイムに投影する技術は,ダイナミックプロジェクションマッピングと呼ばれている.特に同技術では,高速カメラと高速プロジェクタDynaFlashを用いたシステム構成が重要視されている.ダイナミックプロジェクションマッピングのさらなる発展に向けて,広範囲への投影や3次元物体の曲面全体に投影することが求められている.

しかし,転送帯域の制限があるため,1台のコンピュータに多数台の高速カメラと高速プロジェクタを接続することが難しい.一方,高速に運動している物体に対し,人間が投影遅延を知覚しないためには,フレーム毎の遅延を6ms以下に抑えることが望ましい.そこで,多数台の高速カメラと高速プロジェクタを用いたダイナミックプロジェクションマッピングを実現するために,ネットワークを介して同デバイスを制御する構成を新たに導入する.近年のネットワークのデータ転送速度は高いため,このようなアプローチを実現できる可能性がある.

本稿では,ダイナミックプロジェクションマッピングのネットワーク化の基礎検証として,2台のコンピュータ間でネットワークを介したデータ転送を行うことで,1000fpsのシステムをmsオーダの低遅延で実現した.投影遅延を計測した結果,要請である6msの遅延以内に抑えられることが分かった.





参考文献

  • 李 万龍,羅 程,野元 貴史,渡辺 義浩: ダイナミックプロジェクションマッピングのネットワーク化に向けた基礎検証,映像情報メディア学会 情報ディスプレイ研究会,IDY2019-52,Vol.43,No.34,pp.29-32,2019.