偏光アレイカメラを用いた構造化光法による深度・法線の高速取得

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近年ロボティクス,ユーザインタフェース,仮想・拡張現実などの分野では,運動物体の画像センシングが重要視されており, このため,より高速でより高精度な形状の 3 次元形状の計測が求められている. 形状の深度を取得する手法として,構造化光法の 1 つである位相シフト法は高精度の面から有効である. さらに,1000 fps で 8 bit 階調の画像を投影できる高速なプロジェクタ(DynaFlash)と高速カメラを用いて位相シフト法を高速化する手法が提案されている. 一方,形状の法線を取得する手法として,照度差ステレオ法や偏光画像を用いた手法などが提案されている. 中でも偏光アレイカメラを用いた手法はシステムがコンパクトであるという点と,ワンショットで取得可能である点において有効である. また,深度とは別に計測した法線を統合することが形状の 3次元形状の計測の高精度化に有効であることが示されている. しかし,深度と法線の計測は個別に行われており,同時かつ高速に実施することは難しかった.

そこで,本研究では高速プロジェクタと偏光アレイカメラを用いて位相シフト法を行い,深度・法線を高速かつ同時に取得する手法を提案する. この手法では,位相シフト法に用いた画像を偏光解析に再利用することで撮像枚数を減らすことができ, また偏光から計算した法線には方位角に180°の曖昧性があり,また天頂角には低周波ノイズが発生しているが,同時に取得した深度を利用することによってこれらの誤差を解消することができる. 実証のため,深度と法線を 280 fps で同時にリアルタイム取得できるシステムを構築し.約 0.25 ms で計算が完了できることを確認した.



参考文献

  • 野元 貴史, 田畑 智志, 渡辺 義浩: 偏光アレイカメラを用いた構造化光法による深度・法線の高速取得,第26回画像センシングシンポジウム,IS3-19,2020.
  • 野元 貴史, 田畑 智志, 渡辺 義浩: 偏光アレイカメラを用いた構造化光法による深度・法線の高速取得の基礎検証,2019年映像情報メディア学会冬季大会, 21C-4,2019. 鈴木記念奨励賞