ビット深度分割による高速かつ高階調な画像投影

High-Frame-Rate Projection with Thousands of Frames Per Second Based on the Multi-Bit Superimposition Method
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ダイナミックプロジェクションマッピング,三次元ディスプレイ,ゲーム,被写界深度の拡大,色再現性の向上,コンピュータビジョンなどの様々な分野で,高フレームレートプロジェクタの重要性が増している.このような背景のもと,これまでに最大2,841 fpsを達成するDLPプロジェクタが実現された.しかし,前述の応用では,さらなる性能強化に向けて,より高いフレームレートの実現が期待されている.

本研究で新たに提案する手法は,画像のビット深度を複数のプロジェクタに分割し,それらを同時に同期して投影する.同時に投影される低いビット深度(低階調)の複数の画像が重畳されることで,高階調の画像を非常に短い時間で再現することができる.これによって,プロジェクタの台数に比例して,フレームレートを増加させることが可能である.また,本手法のもとで最大輝度を達成するように,システム構成を最適化する混合整数非線形計画問題に基づく解法も新たに提案した.

プロトタイプとして,2台の高フレームレートプロジェクタを用いたシステムを構築した.本システムによって,8ビットの画像を5,600fpsのフレームレートで投影できることを確認した.さらに,投影された画像品質を定量的に評価した.実験では,ビット深度を落とすことでフレームレートを上げるディザリングの手法と比べた結果,より高い品質の映像を投影できることを示した.




参考文献

  • Soran Nakagawa and Yoshihiro Watanabe: High-Frame-Rate Projection with Thousands of Frames Per Second Based on the Multi-Bit Superimposition Method, IEEE International Symposium on Mixed and Augmented Reality (ISMAR), 2023. [Paper]
  • 仲川 宙舞, 渡辺 義浩: ビット深度分割による高速かつ高階調な画像投影, 第68回複合現実感研究会, MR2023-7, 2023.