E.S.P.: 投影型錯覚を利用したエアホッケーの運動知覚操作

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E.S.P. (Extra-Sensory Puck)は目の錯覚を利用することで,新しいエアホッケー体験の提供を試みる研究である.提案システムは,高速なプロジェクタ・カメラシステムによって,移動するパックに錯覚を誘発するパターンを遅れなく投影する.これによって,ランダムに打たれた実体のパックが,物理法則を無視した様々な動きをしているかのように,裸眼のプレイヤーに知覚させることができる.

本研究では2種類のE.S.P.を実証した.1つ目はInvisible puckである.これは,対象に光が当たらない投影と,これによる背景の変化を補正する投影を両立することによって,テーブル上からパックが消えたように知覚させる体験である.もう1つは,Altered motionである.これは,周辺視野において発生するカーブボール錯視を利用することで,運動の方向と速度を自在に操作して,パックがあり得ない軌道を描いているように知覚させるものである.このように,消える魔球や曲がる魔球といった効果を,光の操作だけで実世界上のスポーツに導入できる可能性を示した.






参考文献

  • Kengo Sato, Hiroki Terashima, Shin'ya Nishida, Yoshihiro Watanabe: E.S.P.: Extra-Sensory Puck in Air Hockey using the Projection-Based Illusion, SIGGRAPH Asia 2022 Emerging Technologies, 2022. Emerging Technologies Best Demo Award
  • 佐藤 健吾,寺島 裕貴,西田 眞也,渡辺 義浩:追跡型投影による人間の視覚特性を利用した運動物体の不可視化と方向・速度操作,第27回バーチャルリアリティ学会大会,3E1-2,2022. 学術奨励賞
  • 佐藤 健吾,渡辺 義浩:追跡型構造化光による運動物体の不可視化の検証,第26回バーチャルリアリティ学会大会,3B1-3,2021.