高速なデプスセンシングを用いたリアルタイムモデルベーストラッキング

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デプス画像を用いたモデルベーストラッキングは拡張現実や検査などの応用分野において需要が高い. 特にこれらの応用では,運動現象を正確に把握するために高いフレームレートを要求する. 加えて,フィードバック制御やインタラクションを伴うため,レイテンシが低いことも重要視されている. この両者を達成するためには,高フレームレートのデプスセンシングと,高速な姿勢推定を統合することが必要である. しかし,この両立を果たした手法は少ない.

そこで我々は新たに高解像度・高速なデプスセンシングと高速・高精度のモデルベーストラッキングを統合したシステムを提案する. まず,高速位相シフト法により高解像度なデプス画像を取得する. 次に,センシングのフレームレートが非常に高いことを利用し,フレーム間の対象物体の運動が微小であることを用いて高速にトラッキングを行う. センサ面への透視投影によって3次元対応点探索を2次元画像内の画素同定に帰着し,対応点探索を高速化する. そして,従来必要であった対応点探索と位置姿勢推定の反復を排除し,一度の実行でトラッキングを完了する. 提案システムは720×540pixelsの高解像度デプス画像を用いて,500fpsのフレームレート,約2.8msのレイテンシのトラッキングを実現するものである.


参考文献

  • 久一 空,渡辺 義浩: 500fpsデプスセンシングを用いたリアルタイムモデルベーストラッキング,映像情報メディア学会創立70周年記念大会,31B-3,2020.